…そうか、もう22年になるのか…と、阪神大震災のことを脳裏に思い浮かべつつ、ただ22年前を思い起こすのにどうしてその映像を使用したのかが、冒頭から妙に引っ掛かってしまいました。
のちに、”彼女”を東京へ呼び寄せる意味合いも含んでいると知るのですが、別にそれが理由でなくてもいいのになぁ、と。
物語自体はとても面白く、キャスティングも抜群で、演じている役者さんたちの見事な演技に引き込まれ最後まで油断できません。過去と現在が交錯する映像と、不気味な音声も、リアリティとスリリングを表現するに充分な要素なのですが、その点はわたしにとっては苦手でした。
メディアの取り上げ方や傍観者である国民の反応、SNSだったりインタビューだったりとても効果的に引用されています。映画を観ているというよりは、自分も殺人犯だと名乗り出てきた曾根崎を第三者として観ている、そんな感覚になりました。
できればもう一回、今度はじっくり観てみたいなとは思うけれど、でも心が受け付けない…それだけ衝撃的なシーンが多かったからでしょうか?
実は、あの人が出てきた時点で怪しいなと勘づいてはいたのですが(存在感からしてね)、それでもまさかな展開に、ちょっと唸りました。唸ったけれども、でもあまり納得のいかない点があります(震災の件とは別に)。
・殺害の動機に対しての説得力が薄い気がする
・どうして6人で終わったかの明確な理由が不明
わたしが見落としているか理解力が足りないだけかもしれませんけど…。
それにしても、藤原竜也くんは素晴らしい役者さんですね。重要なテレビ討論の場面でみせた、心情の変化は見事でした。ラスト、旅立ちのために歩き出す姿がとても危うくて、彼の中では何も解決してないんじゃないかな…と思わせる背中でしたね。
…あぁ、なんだか明るい映画が観たいかも。
(2017/6/18改変)