映画鑑賞『君の膵臓をたべたい』

いつからか、わたしの中で「死にたい」という願望はなくなっていました。

大きなきっかけとなったのは、2011年3月11日。あと、それより少し前に、ある親族の死を知った時。そして、その後彼と一緒に生きることを強く願った時です。

いつ、何が起きるかわからない――という感覚と、いつ、終わっても構わないというものは似ているようで全く別物で、わたしは常々後者の考え方でした。

人生や時間を大切にしているか否か。わたしは無駄にしていた。朝が来て、夜が来て、また朝が来て… この繰り返しの流れに沿って、生きていただけでした。

前置きが長くなりましたが、今回この映画を観終わった瞬間に、やはり上記のことが頭を過りました。そして、胸を打たれたのはもちろん表題もですが、
「わたしたちはみな自分で選んでここに来たの。偶然じゃない。運命なんかでもない」
という桜良のセリフです。

後悔って、ある意味自分を守るための手段かもしれませんね。わたしには物語の中の少女のように、病気を受け入れて、限りある時間を精一杯生きる、まっすぐな心は持ち合わせていませんが、せめて今置かれている状況を何かのせいにすることだけはしないようにしたいな、と、改めて思いました。

原作も一度読んでみたいなと思っていますが、重くなりがちな”死”が絡んだ物語が、ドロドロしてなくて美しく、それでもこんなにも深く胸に突き刺さる素敵な作品に創り上げた制作サイド、俳優さんたちに、敬意を表したいです。

※浜野美波ちゃんの声もとても印象的でしたし、北村匠海くんの表情の変化も見どころです。