高野苺さんが描く漫画が原作です。切なくも心温まる青春ストーリーで、一度読むとずっと胸の中に残ります。いい意味でも悪い意味でも。
特に「成瀬翔」の表情・言動ひとつひとつが、“生”と“死”の狭間で常に揺れ動いており、客観的に観ている側は登場人物たち以上にハラハラします。表面上はいつも笑顔で爽やかなイメージだけれども、いつボーダーラインを越えてしまってもおかしくないほどギリギリな感じで生きている。
その、どこかミステリアスで儚さをまとっている難しい役どころを、山崎賢人くんがうまく演じておられます。
太鳳ちゃんもとても可愛らしいのですが、ちょっと菜穂のイメージとは違うかな…って気が。
改めて感じたけれど、言葉の力って本当に強いですよね。時に怖くなるくらい。投げかけてくる相手が自分にとって深くかかわる相手だと、そのエネルギーに更に拍車がかかります。また、心が純粋な人ほど、素直に受け止めちゃうから、影響されやすいし…。
作者さんが“後悔しないように生きる”ということ、“翔のような人がいたら助けてあげてほしい”というメッセージを語ってらっしゃったのをWeb上で目にしました。どちらも、実際は難しい話です。前者は自分自身の問題なので、克服する可能性があるけれど、後者にしては、他人の心が関与してくる問題でもあり、何が正しくて間違っているかなんて、答えを出せない。もしかしたら、“余計なお世話”になってしまうかもしれない。
わたしはずっと自分の命を自分で捨てる選択をするのはいけないことだって思って生きてきましたが、あまりに辛すぎてその意識が飛んでしまって、ソレを選んでしまった瞬間に、考え方が変わりました(かといってその選択が正しいとは思ってないですが)。
だから、もし、目の前に「この世からいなくなりたい」と言っている人がいたら、何にも答えられなくなるでしょう。かろうじて零れだすとしたら、「ほかに選択肢は本当に一ミリもないのか」って言葉かな…
それと、「あなたがいなくなったらわたしは悲しい」…でもそれもねぇ、その相手とどれほど親密か、にもよるよね… やっぱ、難しい!!
と、まぁ、しんみりと考え込んでしまうくらい、深いテーマのお話でした。
そうそう。
原作と映画とで違いがあるとすると、“パラレルワールド”について、映画ではサラッとしか触れてないところ、手紙を書くのはメンバー全員かそうでないか。手紙の届き方。なんで変えちゃったのかなぁ、時間制限があるからかしら?
原作では、過去の自分宛に手紙を書いて出す出さないで、結構メンバーで議論していたような記憶にあるのですが、そこ大事じゃないのかなぁって。
それとね。翔のお母さんからのメッセージ。動画はヤバいよ。本当にヤバい。文字よりヤバい。息子を愛しているとは思えない、そこだけは嫌悪感が募りました。