G○ao動画鑑賞『夏の終り』

夏のけだるさに似た、ゆらゆらと立つ陽炎のような映画でした。

一番はじめに観たときは、なんて鬱々した救われない映画だろうって思いましたが、先日改めて観なおすと、意外と前向きな結末だったんだなぁと、違った感覚になりました。

知子のような生き方は、わたしは共感するところがありませんが…いやしかし、絶望しているようで、否、“生”に固執していて、時には女の狡さを利用してまでも必死で何かを探している、そういう強かさ、嫌いじゃないなと。単なる不倫と男二人の間で揺れ動く、性に釈放的な女の物語にも見えますが^^;

時系列が分かりにくいのですが(過去と現実が入り混じっていて)、最後のほうの、旅館で慎吾が「一緒に死んでくれ」と知子に懇願する場面は、それこそ不倫の切っ掛けとなる出来事だったのですね。

ラストでまた再会するわけですが、内心ふたりは結局まだ切れてなかったんかいと突っ込みたくなったけれど、きっと、あの絶望の淵にいたふたりとはまた違った、ポジティヴな関係になれたのかなぁって。不倫にポジティヴって…いや、いいお友達になれたとか? 原作ではどういう描かれ方しているんだろう。

にしても、満島ひかりさんの、初めに観た映画(動画で)「愛のむきだし」とはまったく違う役どころに、なんて色っぽくて、小悪魔でかわいらしい女性なんだろうと衝撃を受けました。所作がまた愛らしい。みかんを食べる姿も、電話のコードをもてあそぶ仕草も、ちょっと荒っぽく煙草に火をつけるところも。着物姿もとても美しかったです。

セリフ回しも美しく、独特な雰囲気を出しています。主要登場人物は少ないのですが、一人ひとり印象深く、きっとまた、間をおいて観てみたくなる。そんな静かで熱いドラマでした(わたしにとっては)。