特に観たいと強く思ったわけではないけれど、なんだか気になっていた作品で、TOH●シネマズのポイントもちょうど貯まったことだし、本日映画館へ出向きました。あんなに大きな口をあけて笑う福士君の顔、初めて見ました。印象的でした。
物語はシビアな内容で、ところどころヤマモトというキャラクターのおかげでほっこり笑顔になる場面もあるのですが、序盤はずっと胃がキリキリ痛むような流れです。もう、あと少しで境界を越えてしまいそうな危うい精神状態からチョットした切っ掛けで立ち直って前向きになり、そこから予期せぬ罠に襲われまたどん底へ… いびられている新人サラリーマン隆役の工藤さんはこの大変な役をうまく演じていらっしゃいました。
そして、序盤ですぐにヤマモトが亡き人物であることが表明されるのですが、
「実は幽霊でした♪ てへっ♪」
ていう夢オチに似た話で終わるのかと予想していたら、軽く裏切られました(いい意味で)。ちゃんとリアルでした。ただ、ヤマモト君は現実的か非現実的かのはざまでふわふわとした存在で終わるほうがよかったかなぁとも思います。だとしたら冒頭のシーンの伏線回収ができないけれど。
表題にある「ちょっと今から仕事やめてくる」のセリフが出るタイミングが、わたし的には絶妙だなと感心しておりますが、そこで終わらないところが良くも悪くもこの映画のポイントのような気がします。
ヤマモトと隆の出会いは偶然とはいえ、きっと必然であったということ。一方通行ではなく、双方向に救われてたんですね…。
ところで、俳優陣の演技は本当に素晴らしかった。とくに部長役・吉田さんの迫力。その場で働いてないけど震えあがりました。黒木さんも、徐々にブラックに染まって自身で追い詰められていく先輩役を好演してましたね。
…まぁ、でも、「ちょっとやめてくる」で、簡単にやめて次に行けるわけではない立場の人もたくさんいるんでしょうけれど、それでも今が行き詰ってどうしようもない状況ならば、思い切ってリセットしちゃうのも手かな、なんて。先のことは辞めてから考えりゃあいいんだよ。うん。
しかし、隆のご両親との会話を観ていて、わたしは心底うらやましいと思っちゃいましたけどね…。あんな風に受け止めてくれるような親だったらなぁ~ なんちゃってね。
というより、いまぐらいの歳になったら、親どうこうではないですけどね。自分で自分の生き方を見つめ直さないと。