結末はどこに向かっているか解らない、初っ端から迷走気味に感じていた『高嶺の花』というドラマですが、実はわたし自身はけっこう好きでした。
家元の言葉はいちいちピンと来なかったんですけど、自分の両親がそういう感じの発言をする人間なので、違和感があるくらいが親子との確執を表現するのにいいかなって。
…あ、けっしてうちが格式高いわけではないですよ、父が下町の工場やってたちょっと貧乏な部類なんですが、親が説教を垂れるときの言葉が、それらしい筋の通ったことを言ってるようで、よく考えると辻褄が合わない部分も結構あって常日頃から宇宙語に聞こえていたのです^^;
義妹の突然ダークに染まる感じもよかった。本能が見え隠れするのも恋してる証拠だしね。そのほうが人間味も増すじゃないですか。
あとね、プーさんもね、野獣感なくてむしろ色気あっていいですよ。“女性関係に疎い”風に見せかけておいて、実はそうじゃないんだろうなと匂わせる雰囲気。ただ、周りの人間にいい奴だ凄い奴だって言わせないと伝わってこないっていう、能ある鷹は爪を隠すの演出が陳腐に見えたりもするのですが。
ところがです。
ところがですよ、第5話に差し掛かり、苛立ちを覚え始めたのです。
一番イラッときたのは、家元です。
わたしとしては、よくわからない抽象的な表現で娘を叱咤するぐらいがちょうどよかったし、その原因の一つではないかと推測されるのが亡き妻の不貞で、娘を愛しているし才能も買っているけれども心のどこかでは許せないところがある、そういう葛藤があるからこその厳しい態度だと感じておりました(それだけではなく芸術家のトップに立つ者としての目線で放つ言葉でしょうけれど)。
なのに、拓真に殴られた後に運ばれた病院の病室で、ももを次期家元へと執着するのは実は亡き妻(ももにとっては母親)の強い願いからだった、というネタ明かしに、それだけじゃないだろうとは思うけどオジサン素直になるのは早すぎるんじゃねぇかい、とか思っちゃったんです。
それとねぇ。
いちいち、亡き母ちゃんの生前のアドバイスを鵜呑みにするんじゃあないよ、プーさん。回想シーンは嫌いじゃないけど。だってお母さん役の十朱さんがとってもキュートなんだもの。
あっさり浮気しておいて、「あなたはわたしを愛してないんですね」って家元に嘆く継母ルリ子も何だかねぇ… ももの本当のお父さんらしい運転手・高井も、急にキャラ変えてみちゃったりしてさ。正直、みんなチグハグです。意外とブレてるようでブレてないのは主人公だけじゃないですかね?
…このドラマ、最後にはちゃんと纏まるんでしょうか? 「僕にはやっぱり高嶺の花でした、手を出しちゃいけないんでした、END」 …っていうそのまんまの意味のタイトルだったとしたら、とても残念です…
あ、ライバル側の宇都宮龍一はどう動いても全然問題ないです。そこに存在しているだけで十分。わたしが好きだから、っていう理由だけですけどね^^;